2012年08月23日

6年前に比べて大幅に治安が改善!?内閣府の特別世論調査から判明した治安に関する「国民の不安」とは?

内閣府は、16日、6年ぶりに実施した「治安に関する特別世論調査」の結果を公表し、「現在の日本が治安がよく、安全・安心で暮らせる国だと思う」と回答した人が前回調査(平成18年)から13.6%増加して59.7%となり、人々の治安に関する認識が大幅に改善されたことがわかった。

一方、ここ10年間で日本の治安が良くなったと思うかどうかとについて尋ねた設問では、「良くなった」と回答した人が前回調査(平成18年)よりも4.5%増加して15.8%。「悪くなった」と回答した人は3.2%減少して81.1%だった。

日本は安全・安心な国か.png

(内閣府:『平成24年度 治安に関する特別世論調査 公開資料』より引用)

この調査は、内閣府が、治安に関する国民の意識を調査し今後の施策の参考にすることを目的に行っているもの。

今年7月に調査員による個別面接聴取で全国の日本国籍を持つ20歳以上の男女3000人を対象に実施し、65.2%に相当する1956人が回答した。

(参考:日本は安全・安心と答えた人が59.7%と大幅アップ(j-cast))


今回の調査では、上記の他にも治安に関する国民の意識を調査する設問が設けれており、その結果が公表されている。


■ 治安が悪くなった理由は?

上記の設問で、「ここ10年間で日本の治安が悪くなった」と回答した人にその理由について尋ねたところ以下のような結果になった。

治安が悪くなった原因

原因 平成18年12月(%) 平成24年7月(%) 前回比
地域社会の連帯意識が希薄となったから 49.0 54.9 +5.9
景気が悪くなったから 29.7 47.4 +17.7
様々な情報が氾濫し、それが容易に手に入るようになったから 43.8 44.7 +0.9
青少年の教育が不十分だから 48.1 43.8 -4.3
国民の規範意識が低下したから 37.2 42.8 +5.6
犯罪に対する刑罰が軽いから 39.3 29.1 -10.2
来日外国人による犯罪が増えたから 55.1 28.2 -26.9
交番での警戒やパトロールをする制服警察官が少ないから 20.9 17.6 -3.3
警察の取締りが不十分だから 18.1 17.3 -0.8
暴力団や窃盗団などの犯罪組織が増えたから 19.3 13.5 -5.8

(平成18年12月の調査の回答数は1795人。今回の調査では1956人なので、同じ割合でも回答した人の数は今回のほうが多くなることに留意する。)

最も増加したのが「景気が悪くなったから」。6年前の前回の調査から17.7%も増加し、約5割が治安が悪くなった原因として挙げている。

長期にわたる不況、そして、昨年の東日本大震災による福島第一原子力発電所事故の影響で一時日本すべて原発が停止し、さらに産業の空洞化が進んでいる日本の現状への危機感が影響していると考えられる。

■ 不安になるのは人通りの多いところ?

自分や身近な人が被害に遭うかもしれないと「不安になる場所」について尋ねた設問で、今回最も多かったのは「繁華街(53.7%)」だった。

不安に感じる場所

場所 平成18年12月(%) 平成24年7月(%) 前回比
繁華街 44.7 53.7 +9.0
路上 60.2 53.6 -6.6
インターネット空間 40.1 41.9 +1.8
公園 37.4 36.6 -0.8
駐車場,駐輪場 24.5 27.0 +2.5
19.3 26.8 +7.5
電車,バス,飛行機などの乗り物の中 15.5 25.2 +9.7
エレベーター 21.6 23.0 +1.4
自宅 15.9 13.0 -2.9

(平成18年12月の調査の回答数は1795人。今回の調査では1956人なので、同じ割合でも回答した人の数は今回のほうが多くなることに留意する。)


一方、前回の調査から特に顕著に増加したのは、「電車、バス、飛行機などの乗り物の中(前年比 +9.7)」と「駅(前年比+7.5)」、「繁華街(前年比+9.0)」。これらの場所に共通するのは、不特定多数の他人と限られた空間に閉じ込められる場所であるということだ。

近年、人ごみの中で突然襲われる事件も増えていることもあり、逃げ場のない公共の場所に対する警戒感が強まっていることが背景にあると考えられる。


なお、今年4月には京都の繁華街の歩行者の列に軽ワゴン車が突入し、男女3人が死亡、10人が重軽傷を負う事故が発生し、5月には、東京メトロ副都心線渋谷駅構内で男性が見知らぬ男に刃物で刺され重傷を負う事件も起こっており、今回の結果には、こうした調査直前の事件の発生が反映されているようだ。

(参考::歩行者に車、4人死亡 京都・祇園の繁華街(共同ニュース動画),歩行者に車 4人死亡(47news),殺人未遂:副都心線渋谷駅で男性刺され重傷…男が逃走(毎日.jp))

■ 薬物犯罪への不安が強まっているのはなぜ?

「自分や身近な人が被害に遭うかも知れないと不安になる犯罪」について具体的に尋ねた設問では、「暴行、傷害などの粗暴な犯罪」、「振り込め詐欺や悪質商法などの詐欺」、「インターネットを利用した犯罪」、「痴漢や強制わいせつなどの性的犯罪」、「ストーカー行為」、「麻薬・覚せい剤の売買、乱用などの暴走行為」などが増加した。

不安に感じる犯罪

犯罪の種類 平成18年12月(%) 平成24年7月(%) 前回比
空き巣などの住宅などに侵入して物を盗む犯罪 53.1 51.1 -2.0
すり,ひったくりなどの携行品を盗む犯罪 50.0 49.4 -0.6
暴行 ,傷害などの粗暴な犯罪 42.2 45.3 +3.1
飲酒運転による交通事故,ひき逃げなどの悪質・危険な交通法令違反 49.9 45.1 -4.8
振り込め詐欺や悪質商法などの詐欺 41.4 43.4 +2.0
インターネットを利用した犯罪 39.9 42.3 +2.6
自動車,オートバイ,自転車などの乗り物を盗む犯罪や車内から物を盗む犯罪 40.3 39.7 -0.6
誘拐,子供の連れ去りやいたずら 42.5 31.3 -11.2
痴漢や強制わいせつなどの性的犯罪 28.2 31.3 +3.1
殺人 ,強盗などの凶悪な犯罪 34.4 31.2 -3.2
ストーカー行為 17.5 24.8 +7.3
麻薬,覚せい剤の売買,乱用などの薬物犯罪 13.9 21.9 +8.0
暴走族の共同危険行為や騒音運転などの暴走行為 17.2 18.6 +1.4
ヤミ金融関連の犯罪 17.5 16.1 -1.4

(平成18年12月の調査の回答数は1795人。今回の調査では1956人なので、同じ割合でも回答した人の数は今回のほうが多くなることに留意する。)

前回調査から増加したのは、いずれも近年頻発してニュースなどで報道されることが増えた犯罪だが、この中でも特に顕著に増加しているのは「麻薬,覚せい剤の売買,乱用などの薬物犯罪」。

これは、近年、脱法ドラッグや脱法ハーブの問題や、匿名掲示板による麻薬の取引の実態が頻繁に報道されるようになり、国民の関心が高まったことが原因と考えられる。

■ 犯罪傾向のある人よりも普通の人の方が危険?

自分や身近な人を被害に巻き込むかもしれない組織や個人について尋ねた設問では、「情緒不安定な人や怒りっぽい人」が6割を超え、最も多かった。


また、前回の調査からの増加幅では「薬物密売人や薬物乱用者」が最も大きく、10.7ポイント増加している。

こちらも脱法ドラッグや脱法ハーブが社会問題化していることが影響しているようだ。

不安に感じる組織や個人

人・組織 平成18年12月(%) 平成24年7月(%) 前回比
情緒不安定な人や怒りっぽい(すぐキレる)人 59.9 61.0 +1.1
窃盗常習者など犯罪を繰り返している人 43.3 42.6 -0.7
暴走族などの非行集団や非行少年 37.7 34.6 -3.1
暴力団や暴力団員(やくざ) 29.8 33.3 +3.5
薬物密売人や薬物乱用者 17.0 27.7 +10.7
外国人の犯罪グループや不法滞在者 38.9 25.5 -13.4
国際テロ組織や国際テロリスト 12.8 9.9 -2.9
特にない 6.8 10.2 +3.4

(平成18年12月の調査の回答数は1795人。今回の調査では1956人なので、同じ割合でも回答した人の数は今回のほうが多くなることに留意する。)

上記の結果をみると、元々犯罪傾向のある人よりも、精神や性格に問題を抱えている人への警戒感が強まっていることがうかがえる。

最近は、暴力団や暴走族のように一目見て警戒できる人よりも、普段真面目に生活しているような普通の人が、突如豹変する怖さを感じさせる事件が増えていることが影響していると思われる。



今年、6年ぶりに実施された『治安に関する特別世論調査』。

この結果から見えてくるのは、普段何気なく生活している場所で突如犯罪の被害者となることに不安に感じる人々、そして、いままで真面目に生活していた「ごく普通の人」でも犯罪の加害者になってしまう日本の社会の現状を憂える人々の姿でした。


国民の規範意識が低下し、地域社会のつながりが希薄になった現代。

多くの人々の間で「自分の身は自分で守らなければならない」という意識が高まっているように思えます。


今回の調査では、最期に「警察に力を入れて取り締まって欲しい犯罪(複数回答)」に関する設問が設けられており、ほとんどの項目で前回調査を下回っています。

これは警察の犯罪対策が進んだ結果と見ることもできますが、前述の「不安に感じている犯罪」で増加している項目と比較してみると、「警察を当てにしても無駄」というように最初から警察に期待しないという人が増加したと考えるのが妥当かもしれません。

警察に力を入れて取り締まってほしい犯罪(複数回答)

内容 平成18年12月(%) 平成24年7月(%) 前回比
飲酒運転、ひき逃げなどの悪質・危険な交通法令違反 61.6 54.3 -7.3
殺人、強盗などの凶悪な犯罪 63.6 50.1 -13.5
暴行、傷害などの粗暴な犯罪 53.7 47.3 -6.4
誘拐、子供の連れ去りやいたずら 63.5 44.3 -19.2
振り込め詐欺や悪質商法などの詐欺 45.8 43.2 -2.6
空き巣などの住宅などに侵入して物を盗む犯罪 53.4 42.9 -10.5
麻薬、覚せい剤の売買、乱用などの薬物犯罪 34.2 40.2 +6.0
痴漢や強制わいせつなどの性的犯罪 39.3 34.5 -4.8
インターネットを利用した犯罪 32.8 35.1 +2.3
すり、ひったくりなどの携行品を盗む犯罪 39.4 34.5 -5.0
ストーカー行為 29.5 32.2 +2.7
暴走族の共同危険行為や騒音運転などの暴走行為 32.9 31.7 -1.2
自動車、オートバイ、自転車などの乗り物を盗む犯罪や車内から物を盗む犯罪 36.2 31.3 -4.9
ヤミ金融関連の犯罪 28.1 22.9 -5.2
その他 0.8 1.0 +0.2


最近は、ストーカー犯罪やいじめ問題などで警察署の対応の遅れが目立つようになりました。また、警察官nによるわいせつ事件などの不祥事も相次いで発生しており、警察への信頼はますます揺らいでいます。

「市民の安全を守る」という自らの使命をもう一度見つめ直し、市民の信頼を取り戻せるよう頑張ってほしいですね。


参考サイト

脱法ドラッグ(wikipedia)

脱法ハープ(wikipedia)

平成24年度 治安に関する特別世論調査 公開資料(PDF文書ファイル)

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2012年08月16日

文部科学省が2012年の『全国学力テスト』の都道府県別の正答率を公開!?今年の第一位、ワースト一位は?

8日、今年4月に文部科学省と国立教育政策研究所が小学6年生と中学3年生を対象に実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果が公開された。

この調査は、児童生徒の学力状況の把握・分析し、これに基づいて指導方法の改善・向上を測るために文部科学省が全国の小・中学校を対象に実施しているもので、2010年からは約3割の小中学校を対する抽出調査として実施されている。


国語、算数に加え、理科が新たに調査科目として追加された今回の調査は、2010年から2年ぶりの実施。

全国の小中学校の約3割に相当する9695校の約70万人を抽出され、学力テストの成績を都道府県別に集計した。

(参考: 【2012年度全国学力テスト】理科も知識活用に課題 初の3教科、上位は固定(47NEWS))


■ 都道府県別の正答率ランキング

今回の調査では、都道府県別の公立校の平均正答率(%)を教科別に算出したものが公表されている。

(国語A,数学Aは基礎的な問題、国語B,数学Bは論理的な思考力を必要とする応用問題)


各都道府県の公立校の平均正答率(8月9日読売新聞朝刊から引用)

小学6年生

都道府県 国語A 国語B 算数A 算数B 理科
北海道 79.0 53.5 69.6 55.8 58.8
青森 84.7 58.7 77.4 61.4 65.9
岩手 82.7 56.3 74.2 57.7 63.1
宮城 81.7 55.9 72.7 58.1 62.1
秋田 86.9 63.0 79.5 64.0 68.4
山形 82.4 55.0 73.5 56.0 63.2
福島 81.7 55.1 72.9 56.3 61.7
茨城 82.5 57.1 74.7 60.2 63.1
栃木 80.4 54.2 72.6 56.6 59.5
群馬 80.6 53.5 73.3 56.8 61.2
埼玉 81.3 55.4 72.1 58.7 60.4
千葉 81.6 57.3 73.6 60.3 62.6
東京 83.4 57.8 74.8 62.6 62.9
神奈川 81.1 55.8 72.4 60.2 60.8
新潟 81.9 55.7 74.2 58.8 61.7
富山 83.5 60.4 76.5 61.3 65.6
石川 84.8 60.3 78.3 63.6 66.6
福井 85.7 60.2 78.3 62.8 67.1
山梨 80.8 54.8 71.6 57.3 61.3
長野 82.4 55.8 73.2 58.6 61.1
岐阜 80.5 54.8 72.0 57.5 61.7
静岡 80.4 54.1 72.1 57.6 58.1
愛知 80.6 55.0 72.0 59.3 60.1
三重 79.6 52.7 72.2 56.8 58.0
滋賀 80.3 53.7 71.2 56.3 58.5
京都 83.3 58.2 76.5 61.8 62.4
大阪 80.5 53.5 74.2 58.4 57.8
兵庫 82.4 55.5 73.9 59.4 59.7
奈良 82.6 56.9 75.5 60.0 61.7
和歌山 79.9 51.9 72.9 56.7 58.0
鳥取 83.2 56.2 72.8 57.3 59.6
島根 81.4 56.3 70.9 56.3 61.1
岡山 80.3 53.4 70.1 55.6 59.8
広島 83.6 58.1 75.4 60.5 62.9
山口 82.3 56.3 73.5 58.0 61.2
徳島 82.7 55.7 73.5 57.5 59.4
香川 83.8 59.8 74.8 61.4 64.3
愛媛 80.7 55.4 73.3 59.5 60.2
高知 82.1 53.4 74.7 58.1 59.6
福岡 81.6 54.4 72.9 57.9 59.9
佐賀 81.6 53.9 73.3 57.7 60.8
長崎 80.9 54.7 71.8 57.1 60.6
熊本 81.5 55.0 73.9 59.2 63.5
大分 80.7 53.9 74.9 57.3 59.7
宮崎 82.1 54.5 74.3 56.6 60.4
鹿児島 81.2 54.8 74.0 58.3 63.4
沖縄 77.0 51.7 66.5 52.9 55.5
全国 81.7 55.8 73.5 59.2 61.1
2010年度 83.5 78.0 74.4 49.6

中学3年生

都道府県 国語A 国語B 数学A 数学B 理科
北海道 74.2 63.1 60.8 48.1 50.5
青森 76.0 65.5 62.4 48.9 52.1
岩手 75.9 64.2 59.1 47.4 51.1
宮城 76.2 65.5 60.8 50.5 52.7
秋田 79.7 70.3 67.4 56.7 56.1
山形 77.4 66.9 62.3 50.1 54.9
福島 76.6 64.4 60.9 49.1 52.2
茨城 74.8 65.3 61.9 50.7 52.4
栃木 75.4 63.7 61.6 49.6 51.5
群馬 77.3 65.5 63.7 53.0 55.2
埼玉 74.7 63.1 60.2 48.1 48.8
千葉 74.9 63.5 61.4 48.8 50.1
東京 76.1 64.0 63.8 51.3 50.1
神奈川 75.0 63.6 61.2 49.8 49.6
新潟 75.0 62.7 61.1 47.4 50.4
富山 78.1 67.0 66.5 54.6 56.8
石川 77.0 66.4 66.3 54.7 56.3
福井 78.9 67.5 68.1 56.2 57.8
山梨 76.2 64.8 60.6 51.4 52.1
長野 76.3 63.8 62.3 48.8 51.0
岐阜 75.6 65.9 65.1 53.0 54.5
静岡 76.1 64.0 65.3 52.7 53.2
愛知 75.3 63.6 65.0 50.9 53.7
三重 74.0 61.1 61.6 48.0 50.6
滋賀 74.7 62.0 63.0 48.4 51.1
京都 74.8 62.2 62.5 48.4 49.5
大阪 73.1 59.1 60.2 45.9 47.8
兵庫 76.0 62.2 63.8 49.7 51.9
奈良 76.7 62.9 63.5 50.4 51.1
和歌山 74.6 61.7 62.9 48.5 49.8
鳥取 76.0 65.2 64.0 49.5 52.4
島根 74.6 65.6 61.0 47.8 50.7
岡山 74.1 61.6 61.4 47.5 51.2
広島 75.3 63.6 62.4 49.8 50.2
山口 75.2 64.1 63.6 50.9 52.6
徳島 74.6 61.4 63.1 47.1 51.0
香川 75.3 62.3 63.2 49.4 51.5
愛媛 76.5 63.4 64.1 51.1 52.0
高知 72.5 61.6 58.3 45.4 47.3
福岡 74.1 62.4 59.4 47.1 49.7
佐賀 73.7 63.0 61.2 47.4 49.2
長崎 75.2 63.8 62.5 51.3 50.7
熊本 75.0 64.4 61.9 50.1 52.7
大分 74.2 63.6 61.5 47.9 51.5
宮崎 74.8 65.0 64.5 50.0 52.7
鹿児島 74.0 62.3 60.4 46.6 49.6
沖縄 67.6 56.9 50.8 38.4 41.4
全国 76.1 64.2 63.6 51.1 52.1
2010年度 76.1 66.5 66.1 45.2 -

※ 全国学力テストは抽出調査で、平均正答率には±1〜2%の誤差が生じるため、平均正答率で順位を単純比較できない



小学校、中学校ともに、すべての科目の正答率が全国平均を上回ったのは、秋田、富山、石川、福井。

この4県はこれまでの全国学力テストでも優秀な成績をおさめており、今ではすっかり成績上位に定着している。


また、すべての科目で正答率が全国平均を下回ったのは、北海道、栃木、埼玉、三重、滋賀、和歌山、岡山、福岡、佐賀、沖縄の10道県。

学力テスト最下位の常連である沖縄県は今回の調査でも小学6年生、中学3年生ともにすべての科目で正答率が最下位となった。


沖縄県は、2010年の前回調査で小学校が初めて(全科目の平均正答率で)全国最下位を脱出したものの、今回は算数の差が広がって再び最下位に転落。中学校では前回から数学がやや改善したが、初の最下位脱出には至らなかった。

(参考:全国学力テスト 沖縄すべて最下位(沖縄タイムズ))


一方、現大阪市長の橋下氏の知事時代から教育改革を進める大阪府は、前回の調査と同様に正答率で全国平均を上回ったのは算数Aのみ。これは府教委が主導して反復学習に取り組んできた成果と見られる。

これの結果に対して橋下氏は、自身のTwitterで、府教委の小学校での取り組みに一定の評価をしながらも、府教委が府内の全小中学校を指導するのは限界があると指摘し、(市町村教委の権限を拡大して)各市町村教委が直接域内の小中学校に指導できるように改革すべきだと主張している。

(参考:全国学力テスト:中3、全国と差開き低迷 理科、小中とも下回る−−府内 /大阪(毎日.jp),)


小学六年

正答率トップ5

順位 国語A 国語B 算数A 算数B 理科
1 秋田 秋田 秋田 秋田 秋田
2 福井 富山 石川 石川 福井
3 石川 石川 福井 福井 石川
4 青森 福井 青森 東京 青森
5 香川 香川 富山・京都 京都 富山

正答率ワースト5

順位 国語A 国語B 算数A 算数B 理科
1 沖縄 沖縄 沖縄 沖縄 沖縄
2 北海道 和歌山 北海道 岡山 大阪
3 三重 三重 岡山 北海道 三重・和歌山
4 和歌山 岡山・高知 島根 山形 静岡
5 滋賀・岡山 北海道 滋賀 福島・滋賀・島根 滋賀

中学3年生

正答率トップ5

順位 国語A 国語B 数学A 数学B 理科
1 秋田 秋田 福井 秋田 福井
2 福井 福井 秋田 福井 富山
3 富山 富山 富山 石川 石川
4 山形 山形 石川 富山 秋田
5 群馬 石川 静岡 群馬・岐阜 群馬

正答率ワースト5

順位 国語A 国語B 数学A 数学B 理科
1 沖縄 沖縄 沖縄 沖縄 沖縄
2 高知 大阪 高知 高知 高知
3 大阪 三重 岩手 大阪 大阪
4 佐賀 徳島 福岡 鹿児島 埼玉
5 三重・鹿児島 岡山 埼玉・大阪 徳島・福岡 佐賀

(抽出調査による誤差(± 1〜2)があるのでこの順位はあくまで参考値。6位以上でも1%以内の差ならば実際の順位が入れ替わる可能性も十分にあることを留意すること。)



ちなみに、今回の全国学力テストと共に実施されたアンケート調査では、子供たちの理科離れが進んでいる現状が明らかにされています。


「授業で学習したことは、社会に出たときに役に立つか」という質問に対して、算数、国語を「役に立つ」と回答した小学生は、それぞれ90%、89%だったのに対して、理科は73%。中学生になるとこの割合がさらに低くなり、国語が83%、数学が71%だったのに対し、理科は53%。過半数が「理科を学んでも役に立たない」と考えていることがわかりました。


一方、平成22年の科学技術振興機構が小学校教師に行った調査では、約42%が理科の指導が「苦手」、「やや苦手」と回答し、自分の(理科の)観察・実験の知識を「低い」または「やや低い」と回答した教師は半数を超えたといい、教師たちが子供たちに理科の魅力を伝えきれていない実態がうかがえます。

(参考:理科の魅力伝える支援を(MSN産経ニュース))


子供たちの「理科離れ」は、科学技術立国たる日本の地位のさらなる低下を招くだけでなく、近年は日本の政府機関で科学リテラシー能力が低下したスタッフが増えたことにより、科学・技術的な視点を必要とする問題への適切な対応や合理的な政策立案に差し障りが生じていると指摘する専門家もいるようです。


最近は、こうした現状に危機感を抱いた大学や企業によって、子供に科学の面白さを教える「科学教室」が開催されることが増えていますが、やはり教育の要は学校での授業です。

各都道府県の自治体や教育委員会は、全国学力テストの結果にただ一喜一憂するだけでなく、子供たちが今学んでいることと社会とのつながり、そして、学ぶことの楽しさを実感できる教育を実践できるように、明確な指針を示していくことが大切だと思います。

参考サイト

全国学力・学習状況調査(wikipedia)

社説:学力テスト 調査のための調査では(毎日jp)

教育委員会(wikipedia)

理科離れ(wikipedia)

平成24年度 全国学力・学習状況調査 調査結果について(国立教育政策研究所)

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2012年08月11日

ニュージーランドの小学生たちが動物の死骸を使ったファッションショー!?批判を集めるこのイベントに隠された真意とは?

先月(7月)29日、ニュージーランド・ウルティ(Uruti)の小学校が動物の死体に服を着せて展示する一風変わったファッションショーを開催し、好評を博した。

ところが、この様子が地元紙のウェブサイトに掲載されると、小学校を批判するコメントがサイトに殺到し、動物愛護団体も取材に対してこの小学校を非難するコメントを寄せるなど、ちょっとした騒動に発展している。

この一風変わったファッションショーは、地元の小学校がブラインド・クロス(日除けに使う布)の購入資金を集めるために企画したピッグ・ハンティング大会の会場で行なわれた。

ショーには14歳以下の子供たちが参加し、ポッサムの死骸に思い思いの装飾を施してその美しさを競った。

(参考:Monster pigs, pimped-up possums all for a good cause(TARANAKI DAILY NEWS))



上記のAFPの記事では、動物愛護団体の言い分ばかりが強調され、イベントを主催した小学校の校長の言い分は短くまとめられているためか、一見して 小学校側に問題があるように思える。

しかし、ニュージーランドにおけるポッサムの問題について調べてみると、少々事情変わってくる。



■ ポッサムとは?

ポッサムとは、オーストラリアやニューギニア島などに生息する中〜小型の有袋類カンガルー目クスクス亜目の複数の科に属する動物の総称で、一口にポッサムと言ってもその種類は多種多様。現時点で約30種がポッサムに分類されている。

photo by KeresH[CC BY-SA 3.0]

548px-Possum_Cradle_Mountain.jpg


(ポッサムの一種「フクロギツネ」の写真。体長35-55cm。尾長25-40cm。体重はオスが1.3-4.5kg、メスが1.2-3.5kgと小型犬程度の大きさ。1日のほとんどを木の上で生活する樹上性で、生息域は市街地から森林までと幅広い。夜行性で特定の巣を作らず、昼間は木の穴などで休み、夜になると餌を求めて活動を始める。食性は雑食で木の葉や果物、昆虫、鳥やその卵など、生息域内で捕れるものはなんでも食べる。なお、同じ有袋類に「オポッサム」という動物もいるが、こちらはオポッサム目オポッサム科の動物の総称で、生物学的な特徴も全く異なる種類。こちらは外見がネズミに似ていることから「フクロネズミ」とも呼ばれている。)

■ ニュージーランドではポッサムが大繁殖している

ニュージーランドには、毛皮を取ることを目的に19世紀にヨーロッパ人によってポッサムの一種である「フクロギツネ」が持ち込まれ、野生化した。

その後、野生のフクロギツネは、天敵のいないニュージーランドで悠々と繁殖を続け、現在では在来種の存在を脅かすまでになった。

また、ウシの結核を媒介するフクロギツネは個体数が増えると家畜への感染リスクも高まるので、人間の生活への影響も小さくない。

このため、ニュージーランドのフクロギツネは、国際自然保護連合(IUCN)・種の保全委員会によって、有袋類で唯一の世界侵略的外来種ワースト100リスト(生態系や人間の活動への影響が大きい外来種を列挙したリスト)に選出され、自然環境を維持するために個体数を減らす試みが進められている。


なお、フクロギツネが駆除対象になっているのはニュージーランドのみで、フクロギツネの原産地であるオーストラリアでは、保護動物として手厚く保護されている。

(参考:世界の侵略的外来種ワースト100(wikipedia),フクロギツネ(wikipedia))

■ ニュージーランドのフクロギツネの駆除活動

ニュージーランドの豊かな自然環境を保全するために、政府も多額の予算を計上して駆除に乗り出しているが、ニュージーランドには現在7000万匹のフクロギツネが生息しているといわれており、政府の駆除活動だけでは到底追いつかないのが実情だ。

一方、フクロギツネの商品価値を見直し、駆除活動をビジネスに結びつけようという活動も民間で始まっている。

NZの嫌われ者フクロギツネが毛皮市場に(AFP公式)

(AFPがニュージーランドのフクロギツネについて取材した動画。)


ただフクロギツネを駆除するだけでなく、その毛皮を販売して収益を確保しようというこの試み。

動物から毛皮を取ることに関しては、その製造手法が残酷だということでPETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)が抗議運動を行うなど、動物愛護団体からの反発も大きい。

しかし、現実的に考えれば、フクロギツネに駆除にかかる莫大な費用を捻出するために、毛皮を販売するのが最も効率的な手段といえる。


ポッサムの駆除問題は長期的な対策が必要であり、この地域の将来を担う子供たちにとっても他人事ではありません。

特に、地方の小さな村では若者の都市への流出が激しい傾向にあり、地元に定着して地域社会を担ってくれる若者をいかに育成していくか課題となっています。

今回のイベントをニュージーランドの小学校が開催した背景には、そうした地域の事情があるように思えます。


もちろん、動物の命を人間の都合で粗末に扱うことは許されることではありませんが、『自然環境の保全』という立場に立てば、増えすぎてしまったポッサムを駆除する行為はある程度許容すべきことなのかもしれません。


日本でも、鹿などの野生生物が過剰に繁殖して食害を生じさせたり、人間が移入させた外来種が在来種を駆逐したりといった問題が各地で起こっています。

その一方で、生態系の維持のために動物を駆除することに対して意義を唱える動物愛護団体も現れるなど、「動物の保護」と「自然環境の保全」が対立することも増えています。


動物愛護団体など動物の保護を重視する人々は感情的な主張を繰り返すことも多いようですが、より広い視野を持って冷静に議論していくことが大切だと思います。


■ 用語解説

ビックハンティング……オーストラリアやニュージーランドで行なわれている伝統的な「豚狩り」のこと。

ニュージーランドの山林には、18世紀後半から探査航海でこの地を訪れるようになった船乗りたちによって放たれて野生化した豚が現在でも生息しており、この豚を標的にしたハンティングが親しまれてきた。

ピッグハンティングは、今でもスポーツハンティングとして人気を集めており、 現在20000人以上の愛好者たちが、定期的に開催される大会でその腕前を競っている。

(参考:Wild Pig Hunting in New Zealand(NZ HUNTING INFORMATION:英語)

参考サイト

日本の侵略的外来種ワースト100(wikipedia)

世界の侵略的外来種ワースト100(wikipedia)

動物愛護団体(wikipedia)

食害(wikipedia)

フクロギツネ(wikipedia)

動物の倫理的扱いを求める人々の会(wikipedia)


posted by 残照 at 01:02| Comment(0) | 動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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