2013年05月22日

西部劇に憧れた少年は大人になってガンコレクターに!?「遊戯銃大国」日本のエアガン規制の現状は?

西部劇のガンマンに憧れていた少年は、大人になって本物の銃を手に入れて何がしたかったのだろうか。


5月13日、2013年2月22日に殺傷能力のある拳銃85丁と回転式拳銃1丁を所持していた疑いで、熊本の食品会社会長を銃刀法違反で逮捕したことを熊本県警が発表した。

同容疑者は、「西部劇で見て拳銃に興味を持ち、40年前からモデルガンを集めて改造していた。本物に近づけたかった」と供述しているという。

(参考:改造銃85丁所持の疑い 熊本、食品会社会長を逮捕(47News),改造拳銃85丁所持容疑、納豆製造社会長を逮捕 熊本(朝日新聞デジタル))


2008年には、東京都北区の遊戯銃メーカー「タナカ(タナカワークス)」が、本物の銃と同等の殺傷能力を持つことのできるエアソフトガンを製造・販売しているとして、警視庁に摘発されている。

警視庁の捜査関係者によると、「(摘発対象となった「回転式拳銃型エアガン」の)薬莢部分に違法改造を加えると、厚さ4ミリのベニヤ板6枚を貫通する“本物”なみの威力を持つようになることを問題視した」という。

(参考:改造すると殺傷能力あり…エアガン裏世界とは?(ZAKZAK))

photo by Crescent moon[CC BY 3.0]

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(エアソフトガンの一種の「ガスリボルバー」。本物と見間違うほど精巧に作られている。)


本物の銃を持つことの難しい日本では、主に観賞用の模造品である「モデルガン」や、プラスチック製の弾丸を発射できるソフトエアガン(エアガン)といった「遊戯銃」が独自の発展を遂げてきた。

しかし、近年、本物志向のユーザーのニーズに応える形で、次第に本物と変わらないような外観を持つ製品や簡単な改造で高い威力を実現できる製品が販売されるようなり、やがてこれらを改造した銃を使った犯罪も頻発するようになった。


こうした犯罪を防止するため、2006年に銃刀法(銃砲刀剣類所持取締法)が改正(2007年2月21日施行)され、その威力が厳しく制限されるようになり、業界団体による自主規制の取り組みも始まっている。

(2006年の改正銃刀法では、気温35度以下の環境で銃口から1m離れた位置での威力が3.5J/cm以上のものを、「準空気銃」として所持を禁止することが定められた。)



しかし、規制や取締りが強化されても、インターネットには威力を増大する改造の方法についての情報を公然と掲載するサイトも少なくない。

また、某質問サイトでは中学生と思しき質問者が、エアガンの改造についてしきりに質問する書き込みも見られる。


こうした現状に対して、製造メーカーは改造しにくいように工夫したり、威力のあるエアガンの購入に年齢制限を設けたりしているが、インターネットの通信販売では簡単な年齢確認だけで入手可能であることを考えると、十分な対策とは言えない。

上記の「タナカ」の摘発事例では「遊戯銃メーカーに自制を促しそう」という警察の思惑が感じられるが、こうした見せしめ的な摘発で抑止力を強めるだけでは根本的な解決には程遠い。もっと有効な対策はないものだろうか。


■ エアガンのマイナスイメージの払拭を目指す!?老若男女が多数参加する「APSカップ」とは?

改造銃の犯罪への利用やサバイバルゲームによる環境汚染の問題など、何かとマイナスイメージで捉えられがちなエアガンだが、その一方で、近年は射撃スポーツに利用され、多くの人々に喜びを与えているという側面もある。


たとえば、毎年夏には、エアガン(エアソフトガン)によるスポーツシューティングの競技会「APSカップ」が開催されている。


この大会は、「エアーガンによるスポーツ射撃の健全な普及と発展」を標榜して約20年前の1993年に創設された「日本エアスポーツガン協会(JASG)」が、啓蒙活動の一環として開催しているイベントで、毎年幅広い年代の男女が参加している。


大会は、いかに正確かつ素早く弾丸を的に命中させるかという「精密射撃」を競うもので、拳銃型のエアガンを使用する「ハンドガンクラス」と長銃型のエアガンを使用する「ライフルクラス」の2つのクラスに分れて行なわれる。

各クラスは2部門・3競技で構成されており、各競技は、「集中力」、「持続力(プレッシャーに負けずに集中力を持続させる能力)」、「決断力(狙う的を瞬時に決断し撃つ能力)」といったスナイパーに必要な能力を試すものになっているようだ。

APSカップ ハンドガン

(APSカップ、ハンドガンクラスの競技説明動画。[コピーライトマーク nomumogu])


APSカップ ライフル

(APSカップ、ライフルクラスの競技説明動画。[コピーライトマーク nomumogu])


photo by ホビープラザ ビッグマン【楽天市場】

(APSカップのハンドガンクラスで推奨されている『マルゼン エアーガン APS-3』。このモデルのように競技は、2万円以上の射撃競技用のエアガンを使用して行われています。高価な製品にもかかわらず、多くのネットショップで売り切れが続出するほどの人気商品のようです。参考:【楽天市場】『マルゼン APS-3』検索結果)


なお、APSカップについては以下の公式サイトに詳しく記載されています。興味がわいたという方はご覧になってみてはいかがでしょうか。


特定非営利活動法人 日本スポーツガン協会(Official Site)



何かを禁止されると逆にそれやりたくなったり、他人に何かを強制されると反抗したくなったりするという人は意外に多いようで、こうした心理は「心理的リアクタンス」と名付けられて、心理学の研究対象にもなっています。

エアガンの規制や取締りの強化はこの「心理的リアクタンス」を増大させ、人によっては逆効果になることもあるように思えます。


たとえば、上記で紹介したエアガンの射撃スポーツ普及させ、ボーリング場などのレジャー施設で誰でも気軽に楽しめるようにすることは、エアガンを改造したいという願望を抱く好奇心の強い人々の関心をより健全な方向に向けるための有効な方法となりうるかもしれません。


何か問題が発生したときの政府の対策は、法整備や取締強化といった「鞭」に偏りがちですが、自然に国民を良い方向に導けるような「アメ」の施策にも期待したいものですね。

参考サイト

モデルガン(wikipedia)

銃砲刀剣類所持等取締法(wikipedia)

タナカワークス(wikipedia)

エアソフトガン(wikipedia)

Air Precision Shooting(wikipedia)

心理的リアクタンス(モチベーションアップの法則)


銀玉鉄砲 セキデン オートマチック SAP.50 (銀玉50発入)

(銀玉鉄砲が初めて登場したのは昭和35年(1960年)。当時の少年たちはもう既に50〜60代。いまの子供は見向きもしないだろうがノスタルジーに浸りたいという中高年世代には注目を集めそうな商品だ。)

posted by 残照 at 03:14| Comment(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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