2013年02月05日

タバコをくわえたヒゲのおじさんがあなたを幸せに!?南米ボリビアの幸運を呼ぶエケコとは?

今年ももう1ヶ月が過ぎ、安倍政権による経済対策もようやく始まった。風力発電などの新エネルギー構想も進んでいるが、依然として原発再稼働の見通しもたたず、円安による燃料価格の上昇もあって、庶民の生活はますます厳しくなるばかりだ。


もちろん、常に努力を欠かさず社会の変化に臨機応変に適応し、どんな逆風にも負けずに生きるたくましさを持つことも必要だろう。

しかし、自分の努力だけでどうしようもないことが往々にして起こりうるのが現実だ。

こんなときには気分転換も兼ねて、異国情緒あふれる開運グッズに頼ってみるのもいいかもしれない。

photo byMarco en Stephanie[CC BY-NC-SA 2.0]

エケコ人形_480×640.jpg

このちょっと奇妙な人形は毎年1月24日に南米ボリビア・ラパスで開幕する祭典「アラシタ(Alasita)」の露店で販売されている「エケコ」人形と呼ばれるもの。

「アラシタ(Alasita)」はこの地で信仰されている豊作と多産の神「エケコ(Ekeko)をたたえる祭りで、上の写真のヒゲのおじさんは、こう見えてもれっきとした神様なのだ。


エケコは福の神としての顔も持っており、望んでいるものを与える力を持つとされる。

この人形に自分の欲しい品物のミニチュア品を持たせた(くくり付けた)後にタバコを咥えさせて祈願すれば、その望みの品物を入手できると信じられており、祭りの露店に並べられた多種多様なミニチュア品を買うために毎年大勢の人々が訪れる。


photo byAlhen[CC BY-SA 2.0]

露店ミニチュア1_500×375.jpg

(露店に並べられたミニチュア製品。穀物や缶詰などの食料品、鍋・釜・フライパンなどの日用品、パソコンや冷蔵庫、洗濯機のような電化製品。さらには家や家畜、車といった資産価値の高いものまで、祈願に使われるミニチュアは人々のニーズに合わせて多岐にわたっている。)

photo byPÅTレジスタードマークICIÅ[CC BY-NC 2.0]

お金のレプリカを売る露店500×375.jpg

(数あるミニチュア製品の中でも定番となっているのはやっぱりお金(紙幣)。原寸大に近いのでミニチュアというよりレプリカと言ったほうがいいだろう。最近ではクレジットカードやパスポート、大学の学位を記した卒業証明書[ディプロマ]といった社会的な成功を祈願するための品物も多数販売されており、社会の変化をうかがわせる品揃えとなっている。)


祭りの名前ともなっている「アラシタ」とは、地元の先住民族の言語で「買って」を意味する言葉。

コロンブスが新大陸を発見する年より前の1781年に始まり、現在も続く「アラシタ」の祭りは、200年以上の歴史を持つ。毎年1月24日の正午に開幕し、露店は約3週間開かれるという。

Inicia en Bolivia la Feria de la Alasita

(今年のアラシタを取材したニュース映像。今年の祭りにはエケコ人形に扮して路上で踊る人も登場しています。)


人々の願い叶えてくれる不思議なおじさんエケコ人形。

最近は地元の人だけでなく、観光客にも人気のようで、祭りの期間が終わっても土産物として1年中販売されています。


日本でもインターネットを通じて購入可能なようですが、その土地に縁もゆかりもない日本人がご利益だけをいただくというのは、ちょっと都合が良すぎるのかもしれませんね。

(参考:エケコ人形 ボリビア産(楽天市場 検索結果))

参考サイト

Feria_de_la_Alasita(wikipedia:スペイン語→ 英語翻訳)

エケコ(wikipedia)


posted by 残照 at 18:05| Comment(0) | 文化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月21日

インドでカエルの結婚式!?農村の人々が新郎、新婦に込める切実な願いとは?

6月といえば、日本ではジューンブライドに合わせて多くの花嫁が誕生する季節となっているが、インドではカエルのカップルを強引に結婚させるちょっとおせっかいな儀式が頻繁に行なわれているという。

インドの耕作面積の約60%が自然に降る雨に依存する農業をしているとされるインドでは、6月から9月までの4ヶ月間の雨季に降る雨に依存した農業が主流となっており、この時期の雨の量が農業に従事する人々の生活を左右すると言っても過言ではない。

とりわけ、北インドでは古来より干ばつに苦しめられることが多かったようで、多種多様な『雨乞い』の儀式が今も伝えられているという。


この「カエルの結婚式」も、その『雨乞い』の儀式の一つで、2匹のカエルを新郎と新婦に見立てて結婚式を挙げるというもの。

カエルには花をちりばめた伝統的な結婚式の衣装を着せたり、インドの香辛料「ウコン(ターメリック)」を使用したりするなど、インドの伝統的な文化を感じさせる儀式となっているようだ。


People in Rajpipla oganize wedding of frogs to invoke rain God

(インドのメディアDeshGujaratが、クジャラート州Rajpiplaで行なわれた今年の儀式の様子を取材した動画。この地域では雨季の到来が例年よりも遅れているそうで、それを憂慮した人々によってこの儀式を行われたようです。この地域の人々の間ではカエルの結婚式が十分な雨をもたらすと信じられており、大勢の人々が結婚式に参列しています。式はヒンズー教の司祭の下で、ヒンズー教の形式の則って行われています。なお、カエルは結婚式のあとで川に帰されたそうです。 )



近年、インドでは雨季の時期でも平年よりも雨量が少ない年が確実に増え、例年にない気温上昇に見舞われるなど、異常気象による深刻な農業被害が起こっています。

一方、タイ、ベトナムと並ぶアジアの米輸出大国の一つであるインドは、小麦、とうもろこしなどの穀物類や砂糖(サトウキビ)の生産量も多いため、インド農業の不作は、高騰を続ける食料価格をさらに上昇させる要因となります。

日本はインドからの直接的な食糧輸入はほとんどありませんが、食料を外国からの輸入に頼っている実情は変わらないので、インドの不作の影響は決して小さくはありません。


『カエルの結婚式』の効果のほどは定かでありませんが、日本のわたしたちもカエルのカップルにお願いしたいところです…‥。

参考サイト

インド旱魃の危機・・・各地で雨乞い・・・さて{金価格」は?(さまよえる団塊世代)

インドの基本情報(ChaiChai)

Villagers hold lavish "frog wedding" in India in hopes of bringing rain(The Weather Network)

ベトナムとタイを捉えたインド、世界最大の米輸出国へ(ブルーチップ ベトナム投資ニュース)

最近のインド情勢と日印関係(外務省)

インドの干ばつで砂糖相場が急騰。ブラジルのコーザンが恩恵を授かる!(Diamond ZAI ONLINE)


posted by 残照 at 18:43| Comment(0) | 文化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月16日

米フロリダ州で巨大カタツムリが大量発生!?当局が原因として指摘するブードゥー教の伝統的な宗教儀式とは?

カタツムリといえば、日本では梅雨の時期の風物詩として親しまれているが、真冬のこの季節、米フロリダ州南部マイアミ・デード郡では、熱帯に生息する巨大カタツムリが大発生しているという。


上記のAFPの記事によると、当局(おそらく侵入経路を調査している米野生生物局)が、「アフロカリビアンの宗教儀式」にこのアフリカマイマイが使われていることを指摘しているという。

この発言は、この宗教儀式に関わる信者がアフリカマイマイを儀式のために密輸した可能性を示唆したものといえる。


ところが、前回1966年に起こった大発生の原因は、一人の少年が輸入した3匹の少年の祖母が外に放してしまったこと。宗教とは全く関係がなかった。


今回も個人が趣味のために密かに持ち込んだ可能性も決して低くないと思われるが、当局は、今回はなぜかこの宗教儀式に着目している。


では、なぜ当局はこのような発言をしたのだろうか。またその発言の根拠はどこにあるのだろうか。


◆ カタツムリ大量発生の原因!?『ブードゥー教』の儀式とは?


上記の記事では、「アフロカリビアンの宗教儀式」と曖昧に書かれている。

よく調べてみると、アフロカリビアンとは、アフリカ系カリブ人(主に19世紀にハイチなどに連れてこられた黒人奴隷の子孫)のことだということが分かった。

アメリカでは、アメリカに移住したアフリカ系の黒人のことをやや差別的なニュアンスを込めて「アフロ・アメリカン」と呼ぶことがあるが、これとほぼ同じ意味で使われているようだ。


そして、彼らの多くが信仰しているとされるのが、『ブードゥー教』。

つまり、「アフロカリビアンの宗教行事」とは、この「ブードゥー教の宗教行事」と考えられる。


■ ブードゥー教とは?


ブードゥー教は、西アフリカを起源とする民間信仰で、ハイチがフランスの植民地だった19世紀、奴隷貿易で連れてこられたアフリカ人によってカリブ海地域に伝わり、発展したとされる。

その後、白人たちの弾圧を避けるために、ブードゥー教は表向きはキリスト教化(主にカトリック)し、様々な土着キリスト教の宗派に別れていったが、その独自の宗教観念は彼らの伝統を受け継いだ移民たちによって中南米や欧州、そしてアメリカなど世界中に伝播し、ブードゥー教の伝統は現在も彼らの子孫を中心に受け継がれている。

(たとえば、キューバでは「サンテリア」、ジャマイカでは「ポコマニア」、そしてブラジルでは、「カンドンブレ」や「ウンバンダ」といった宗教でブードゥー教の伝統を受け継いだ儀式を行っているという。)


一方、アメリカでは、18世紀からハイチからの移民が大量に流入したルイジアナ州ニューオーリンズで「ニューオーリンズ・ブードゥー」が独自の発展を遂げて定着。

さらに、「ニューオーリンズ・ブードゥー」は、現在、 ルイジアナ州全域からアラバマ州、そしてフロリダ州にも広がっているという。

(参考:サンテリア、ポゴマニア、ウンバンダ、マクンバ、ニューオリンズ・ブードゥー(オカルトの部屋))



■ ブードゥー教の独自の死生観と、伝統的な儀式


このブードゥー教の大きな特徴は、独特の死生観と霊的な世界観に基づいた伝統的な儀式。その内容は動画サイトの映像などで知ることができる。


Haitian Voodoo

(ナショナル・ジオグラフィックが中米ハイチのブードゥーの儀式を撮影した動画。祈祷師が精霊を呼び出してその場にいる生者たちに憑依させ、人間と神が一体となってダンスを踊る。

これにより、人々は神の恩寵にふれることができるとのこと。

ブードゥー教では、人間の霊魂は精霊になって神として自分たちを見守ってくれるという独特の死生観があるといい、ハイチでは死後1年と1日にこの儀式を行うのが通例となっている。)

New World Voodoo

(ナショナル・ジオグラフィックが南米・ベネズエラのブードゥーの儀式を撮影した別の動画。こちらの呪術師は頬に針を突き刺したり、グラスを歯で割ったするなど、自分の体に痛みを与えることによって霊的なエネルギーを高めているようだ。このようにブードゥーの儀式には、若干の地域差があるが、その根幹にある独特の思想は共通しているという。)


■ ブードゥー教の呪物崇拝


そして、ブードゥーのもうひとつの特徴とされるのが動物の生贄(いけにえ)と動物の骨や皮などを使った呪物崇拝。

たとえば、アフリカのトーゴ共和国では、ブードゥーの儀式に用いられる呪物を販売する「呪物マーケット」が存在する。


トーゴ共和国の呪術マーケット[photo by Dominik Schwarz at wikipedia commons]

800px-Voodo-fetischmarkt-lome.jpg

(アフリカ・トーゴ共和国の呪物マーケットの写真。)

Fetish Market in Togo

(アフリカ・トーゴ共和国の呪物マーケットの様子を撮影した動画。動物の骨や皮のようなものが数多く並んでいる。ブードゥー教では、こうした動物の骨や皮には超自然的な力が宿っていると信じられているようで、こうした考えは学術的には「呪物崇拝」と呼ばれている。

ちなみに、ブードゥー教の呪物には、このようなグロテスクなものの他に、独特の形をした人形や彫像があり、これらを工芸品として販売するサイトもある。 )

ブードゥー特集(アフリカ雑貨 アラザイ)


残念ながら上記の写真や動画では、アフリカマイマイを見つけることが出来なかったが、ブードゥーがこうした動物の骨や皮を使った儀式をおこなっているという事実は、少なくとも「アフリカ原産のカタツムリをブードゥー教儀式で使っている」と考える材料としては十分だろう。



このように、当局は、動物の骨や皮を用いるブードゥー教の儀式と、フロリダ州にもブードゥー教の信徒がいることを根拠に、今回のアフリカマイマイの大発生に関して「ブードゥー教の宗教儀式が原因」との説を展開したと見られ、これは一見して合理的な推理のように思える。



ところが、ここは保守的なキリスト教徒が多いアメリカ。

アフリカマイマイが確認されたフロリダ州は熱心なキリスト教徒が多いとされている土地でもある。

また、キリスト教を頑なに信じる者にとっては、ブードゥー教の世界観は、受け入れがたいもののようで、ブードゥー教に対する偏見も根強い。


このことは、2010年のハイチ地震発生時に、米キリスト教伝道師パット・ロバートソン氏の『(ハイチ地震は)「悪魔と契約を結んだ」ブードゥー教信者に対する神罰』という発言が象徴している。

(参考:ハイチ地震(2010年)(wikipedia)ハイチ地震をブードゥー教信者に対する神罰だと発言(2chログ))


もちろん、パット・ロバートソン氏の発言は、極端なものであり、同氏の発言には内外から批判が集中した。

とはいえ、ハリウッドでは、ブードゥー教を「ゾンビ」や「黒魔術」に結びつけるような映画が多数制作されており、ブードゥー教に関する誇張されたイメージが一般に浸透してしまっている現状を考えると、多かれ少なかれブードゥー教に偏見を持つアメリカ人も少なくないように思える。



アメリカの異教徒や異民族への根強い偏見。

こうしたアメリカ社会に横たわる根深い闇が、今回のような小さな事件の捜査にも影響を与えているようです。


自分たちの宗教や価値観を絶対視する姿勢は、異なる宗教や価値観を持つ者への憎しみの源泉となり、これまで多くの悲しみを生み出してきました。

思想や価値観が多様化し、アメリカの軍事・外交政策の行き詰まりや矛盾が顕在化する今、まずアメリカはこうした姿勢を改める必要に迫られているはずなのですが……。

アメリカが変わる日はまだまだ来そうにありませんね。


関連記事

米フロリダ州で巨大カタツムリが大量発生!?驚異的な生命力と繁殖力で生態系を破壊するアフリカマイマイとは?

参考サイト

ブードゥー教(wikipedia)

ニューオーリンズ(wikipedia)

バイブル・ベルト(wikipedia)

ハイチ、ブードゥーの信仰と地震(National Geographic)

呪物崇拝(wikipedia)

posted by 残照 at 17:54| Comment(0) | 文化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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