2013年03月18日

黄砂は危険、煙霧は安全と考えてはダメ!?煙霧でも注意が必要な理由とは?

2013年3月10日の午後1時30分頃、都心で急に見通しが悪くなり、誰もが中国から飛来する「黄砂」を疑ったに違いない。

しかし、気象庁はこの現象は、「煙霧(えんむ)」と呼ばれる気象現象であると発表した。

気象庁にはこの聞きなれない気象現象についての詳細を知るために、問い合わせの電話が殺到。同庁は対応に追われたという。


◆ 「黄砂」と「煙霧」の違いは?

誰もが「黄砂」と勘違いした「煙霧」とはいったいどのようなものだろうか。また、「黄砂」とどのような違いがあるのだろうか。

■黄砂は地球規模で起こる自然現象

黄砂は「中国を中心とした東アジア内陸部の砂漠または乾燥地帯に由来する砂塵(砂の微粒子)が砂嵐などによって上空に巻き上げられ、(気流に乗って飛来した砂が)東アジアなどの広範囲に降り注ぐ自然現象(あるいは飛来した砂のことも黄砂と呼ぶ場合もある)」と定義されている。

■煙霧は天気の一種

一方、「煙霧」は「肉眼では見えないごく小さい乾いた微粒子が大気中に浮遊して視程が10キロ未満の状態」と定義されており、晴れや雨、雪など同じ天気記号で表すことのできる「天気」の一つに分類されている。

photo by Monaneko(wikipedia)[Public Domain]

250px-Japanese_Weather_symbol_(Haze).svg.png

(煙霧の天気記号[日本式])

この定義のおける「小さい乾いた微粒子」とは、霧や靄(もや)の成分である細かい水滴(液体の微粒子)ではなく、海の塩分(海塩粒子)、工場から排出された化学物質、火山灰などの「固体の微粒子」を意味し、当然黄砂の原因となる砂の粒子もこれに含まれている。


つまり、工場の排煙などの化学物質による視界不良(光化学スモッグなど)や黄砂による視界不良もこの条件を満たせば「煙霧」と呼べることになり、両者の違いは単なる「言葉の定義」に起因したものに過ぎないことがわかる。

(「黄砂による煙霧」、「砂ぼこりによる煙霧」、「排煙による煙霧」のように、黄砂は煙霧に至る要因の一つと考えることもできる。)


2013年3月09日〜10日の期間、北陸や甲府まで黄砂が観測されていたので、多くの人が「東京にも黄砂が上陸か」と考えた人も多かった。しかし、東京では黄砂が観測されなかった。

このため、その時間の風向きから考えて、東京の「煙霧」は関東内陸部で発生した土ぼこり(砂ぼこり)が原因の「煙霧」として発表されることになったと考えられる。

■やはり煙霧にも注意が必要か?

「黄砂」は大気汚染が深刻化する中国大陸から飛来することもあり、過敏に反応する人も少なくない。

気象庁が「黄砂」でなかったことを発表してひとまず安心した人もいるとは思うが、果たして本当に安心なのだろうか。


先日、北京などの中国沿岸部の都市部では、人体に有害な微小粒子状物質PM2.5が含む煙霧の発生が、最大で年間200日を超えている実態が明らかになった。

有害な煙霧は年間200日以上 中国沿岸部(MSN産経ニュース))

また、今回は北関東の砂ぼこりが「煙霧」の発生原因とされているが、実はPM2.5に汚染された砂煙が強風に運ばれて東京に飛来した可能性を指摘する声もあり、「黄砂」でなくても安心することができないことがわかる。

「黄砂じゃなくて煙霧でした」報道の正しい読み方 (Business Media誠)


「煙霧」は特に気温が上昇して空気が乾燥し、周期的に訪れる低気圧によって強風が吹きやすい春に起こりやすいとされ、今後も頻繁に発生することが予想されています。

もちろん、すべての「煙霧」に有害物質が含まれているわけではなく、含まれていたとしても日本ではただちに人体に影響を与えるレベルのものではありませんが、今後頻繁に煙霧が発生するようならば念の為にある程度の自己防衛が必要になると思います。


2013年3月19日追記

日本全国のPM2.5の数値は、個人開発者の矢野さとる氏が開設した以下のサイトでリアルタイムで確認できるようです。

PM2.5の大気汚染情報まとめ

このサイトは、環境省大気汚染物質広域監視システム「そらまめ君」のデータを基に構成されたもので、日本地図上に汚染度を色分けして表示するなど、専門知識のない一般の人にも視覚的に汚染度が把握しやすいように製作されています。

また、今後一週間のPM2.5の飛来量を予想する「一週間のPM2.5の飛来予報」など、外出時の自己防衛の必要かどうかを判断する材料として利用できるコンテンツが充実しています。PM2.5に不安を感じている方はご利用になってみてはいかがでしょうか。

参考サイト

関東で大騒ぎになった「視界不良」 黄砂と煙霧どこが違う?(日本経済新聞WEB)

黄砂(wikipedia)

海塩粒子(wikipedia)

煙霧(wikipedia)

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2013年03月17日

孤独な現代人の強い味方!?自閉症の子供たちも癒す「抱きしめジャケット」とは?

シンガポールの企業が、抱きしめられたような感覚を味わうことのできるジャケットを開発し、ドイツ・ハノーバーで開催された世界最大の情報技術見本市「CeBT」で公開した。

このジャケットは、シンガポールの「T-ware」が開発したもので、一見して袖なしのフリースのようにしか見えないが、中には擬似的な抱擁体験を与えるための圧力センサーや気泡によって圧力を加える装置が組み込まれている。

スマートフォンから遠隔操作も可能なので、遠く離れた人に自分の思いを感覚的に伝えるといった使い方もできる。


一方、自閉症などの感覚障害のある子供は、大きな音や知らない人に遭遇すると激しく動揺してしまうことがあるが、このジャケットはそうした状態に陥った子供たちを落ち着かせる効果があり、子供の呼吸や脈拍などを監視して知覚に過剰な負担がかかりつつあることを保護者に知らせてくれる機能を持つという。

価格は499ドル(約48000円)と少々高めだが、今後日本に輸入されればそれなりの需要が期待できそうだ。

(参考: Cuddle Jacket -Banish your loneliness(india times)ジャケットの写真もこのサイトに掲載されています。)

■ 孤独な現代人を救うかもしれない日本発の抱きしめデバイスとは?

ちなみに、2011年6月にはまだ商品化されていないものの、別の「自分自身を抱擁できる」装置が電気通信大学の研究グループによって発表されている。

自分自身を抱きしめることができるデバイス #DigInfo】

(2011年6月に開催された3D&バーチャルリアリティ展の会場で開発者がジャケットの仕組みやコンセプトを説明している動画。[コピーライトマーク deginfonewsjapan)

この触覚コミュニケーションデバイス「Sense-Roid」は、もともとは「自分自身と抱擁することができたら、いったいどのような感情が生まれるのか」を知るために製作されたものだそうだが、セラピーなどの医療・介護分野での応用も期待できるようだ。


もちろん、実際に抱擁をかわせる相手を見つけるのが一番ですが、誰しもそんな相手を簡単に見つけられるわけではなく、孤独に耐えながら生活している人も少なくありません。

そんなとき、たとえばこの装置を使ってテレビ電話で相手と会話しながら、相手と抱擁できるサービスが提供されれば、気休めくらいにはなると思います。

使い方次第では孤独を抱える現代人の救世主になりうるこの発明。早期の実用化を期待したいですね。

参考サイト

自分自身を抱きしめることができるデバイス(DEGINFO TV)

Singapore-based firm develops ‘cuddle jacket’(THE RAW STORY)

posted by 残照 at 14:57| Comment(0) | サイエンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月25日

ハイテクなのに見た目はレトロ!?ロボットだけで運営できる中国のロボットレストランとは?

中国東北部・黒竜江省ハルビンには、調理から接客まですべての業務をロボットだけでこなせるロボット・レストランが注目を集めているという。

このレストランのオーナーでチーフエンジニアの劉氏(Liu)は、地元で「Harbin Haohai Robot Company」を経営するかたわら、昨年(2012年)このレストランをオープンした。

開店にかかった費用は約80万ドル(約7000万)。

劉氏が率いる研究チームが開発したという20体のロボットは、一体3万ドル〜5万ドル程度(約267万円〜445万円)で、開店費用の7割以上がロボットの費用で占められている。

これまで観光客や親子連れを中心に1万人以上の客がこの店を訪れているそうだが、中国の物価水準を考えると初期費用を回収するまでに至っていないように思える。


それでもオーナーの劉氏は、開店から7ヶ月でロボット・レストランが人々に認知され、お客様にも喜ばれているとの認識を示し、今後もロボットの機能強化とともに、メニューの増強を図っていくことを「チャイナデイリー(China Daily)」の取材に対して語っている。

さらに劉氏は、現在人間と対話できる機能を持つロボットを開発中で、「これが完成すれば子供がロボットと一緒にゲームで遊べる日が来るだろう」と今後の展望を示した。

(参考:A robot restaurant in China? They took our jobs! (10 Photos)(the CHIVE) )

Robot Restaurant in Harbin - North East China

(「CNC World」がロボットレストランを取材したニュース映像。ロボットは1.3m〜1.6mと子供と同じくらいの大きさで、別室に常駐するスタッフがコンピュータで操作する。連続稼動可能時間は5時間とやや短いが、充電時間は2時間なので、ランチタイムが終わった後と営業終了後に充電すれば十分に活躍してくれる。

メニューは、日本でもおなじみの四川料理と地元東北地方の中国料理が中心。調理はそれぞれの料理に特化したロボットが担当し、接客ロボットは、10種類以上の表情を作り、簡単な言葉を話す。

この他にも犬型ロボットや歌を歌うことができるロボットもあり、他のロボットと共に訪れた客たちを和ませている。)

China: A robot chef for making noodles - no comment

(中国ではもうすっかりポピュラーな存在となった麺スライスロボットの工場を取材した動画[No comment TVより]。上の記事とは直接的な関係はないが、こうしたロボットの普及がロボット・レストラン構想につながったのかもしれない。)

サムライロボットが料理を運ぶレストランがスゴイ! Robot Restaurant

(日本製の侍型ロボットがウェーターとして活躍するタイ・バンコクの日本食レストラン「Hajime Robot Restaurant」を取材した動画[Rocket News 24より]。こちらのロボットはなんと日本円で1300万円以上と高額。料理を運ぶ機能の他に音楽に合わせて踊る機能があり、客たちを楽しませるが踊っている途中は当然、料理を運ぶことはできないので、料理を運ぶのが遅れることもしばしばだという。→参考:サムライロボットが料理を運ぶレストランがスゴイ! けっこう賢いロボット(Rocket NEWS 24)



■ 中国のロボットレストランに親子連れが多いのはなぜ?

昨年、日本でも新宿・歌舞伎町にど派手なロボットがショーを披露する「ロボット・レストラン」が登場して話題になりました。

こちらは本物の人間に見間違うような精巧な外見をしており、中国とは対照的なものとなっています。

photo by Yohei Yamashita

歌舞伎町ロボットレストラン1.jpg

photo by Yohei Yamashita

歌舞伎町ロボットレストラン2.jpg

(参考:映画「私の奴隷になりなさい」大ヒット記念壇蜜誕生祭@ロボットレストラン(甘噛みMAGAZINE),総工費100億円の巨大ロボットがいる「ロボットレストラン」(Youtube動画))


中国では、近年、経済発展と共に急速に科学技術が発展し、工業、農業、医療、警備、警察、サービス業など様々な分野でロボットの導入が進んでおり、ロボットは庶民にとって経済発展を分かりやすい形で実感できる、一つの象徴となっています。


オーナーの劉氏は、「客の約60%は親子連れ、約20%は観光客で、彼らは食事だけでなく科学技術の世界を体験するためにこの店にやって来ている」と分析しています。

こうしたニーズに応えるには、一目でロボットとわかるちょっとレトロなロボットが最適と言えます。


子供たちに中国の科学技術の発展を実感させたい。そして、先行き不透明な未来を希望を持って歩んで欲しい。

中国のロボットレストランが親子連れで賑わう背景には、こんな親心があるのかもしれませんね。

参考サイト

CNC World(wikipedia)

serving humanity, one diner at a time: chinese restaurant with robot staff delights noodle-lovers(mail online)

the future is now – china opens robot-operated restaurant(oddity central)

posted by 残照 at 05:27| Comment(0) | サイエンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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